頭痛がして、調子があまりよくない日だった。
右のこめかみがズキズキと痛む。
頭痛ーるアプリを開いてみたら、やっぱり気圧が下がっていた。
朝、キャリアコンサルティングの面談予約の電話をする。
感じのいい女性だった。
日程調整のタイミングの時、予約日を中々決められずに困った。
決断力がない。
手帳のカレンダーをジッと見つめる。
空白はたくさんある。
それでも、どの日が最善か、考える。
わたしの場合、予定がある日の次は、”予定のない日”を設けなくてはならない。
約束の次の日はぐったりとしてしまうので、回復に費やす予備日を設けなくてはならない。
”なにも予定のない日”という、余白がどうしても必要なのだ。
携帯電話にも、音楽が流れる保留ボタンがあればいいな、と思う。
1度電話を切って、落ち着いて日にちを決めてから、折り返せばよかったのかもしれない。
電話を切ったあともしばらく、「この日にしてよかったのかな…?」とグルグルと考えてしまった。疲れた。
脳が疲労したことで、ますます頭が痛くなった気がする。
* * *
支払いをしに、セブンイレブンに向かう。お会計時、カードをタッチする場所ではなく、レシート入れに、nanacoをタッチしていた。凡ミスが多い日だった。全部気圧のせいだから、仕方がない。
そのまま、インフルエンザの予防接種を受けに行く。
去年は、予防接種を受けたのにもかかわらず感染して、大変だった。ひとり暮らしのインフルエンザの孤独と辛さは、想像以上だった。
受けないよりは受けた方が…と思い、今年も受けに来た。
担当してくれた看護師さんの注射が、全然痛くなくて、感動した。
「すごい、全然痛くなかったです。」
と伝えると、看護師さんは、ニコッと笑った。
そういえば、仕事をやめてから、風邪を引いていない。
仕事をしている時は、月に1度は風邪を引いていたというのに。
まったくもって、ストレスというものは恐ろしい。
勤めている時は、医者のハシゴをして、病院代がたくさんかかったけれど、今はほとんどかかっていない。とりあえず身体が健康なことに、感謝しようと思った。
* * *
無性に食べたくなって、スパイスカレーのM85さんへ向かう。
お店の前に、売り切れの文字。やっぱり今日はダメ日だと思った。
呆然としていたら、出てきた店主さんが「チキンカレーなら一皿作れそうです」と声をかけてくれた。このお店のカレー欲を、他の食べもので紛らわすことは不可能なため、ありがたくいただくことにした。
ここのカレーは、けっこう辛い。
辛いものはそれほど得意ではないし、辛さも選べないので、はじめはどうしようかと思った。けれど、食べると、なぜだか元気になる。癖になる。スパイスは、奥が深い。
初めて食べた時も、家に着いてすぐ、「また食べたいなぁ…」と思うほどだった。
* * *
柔和な店主さんと、お話する。
話しかけられた時、鼻水が垂れていたので少し、焦る。
さりげなく紙ナプキンで鼻をおさえながら、以前ここのカレーを食べて調子がよくなったことを伝えた。
「スパイスは、漢方薬に近いものがあるからかもしれませんね。」
「野菜もたくさん入ってますし…。」
チキンカレーを見る限り、野菜なんて、どこにも見当たらない。
「溶け込んでいるだけで、かなりの量を使っていますよ。うちは、小麦粉を使わないで野菜でとろみを出しています。」
びっくりした。カレーといえば、小麦粉と油でできていて、胃もたれするイメージだったから。
小麦粉をなるべく避けよう、と思いつつもできない自分にとって、嬉しい情報でもあった。
「僕は、カレー屋さんにカレーを食べに行くことってないんですよ。他のお店でカレーを食べちゃうと、影響されたり、似たようなものを作っちゃうと思うから…」
と店主さんは言った。
あえて、情報を遮断しているという。
今の自分にとって、とても大事なことだと思った。
情報の渦に飲み込まれて、あっちもこっちもよく見えてしまう。
結果、自分が何をしたいのか、分からなくなってしまう。
人に「どんな仕事をしたらいいでしょうか?」とアドバイスを求めると、どの人が言ったこともなんとなく「そうかもしれない」と納得してしまう傾向にある。
信頼できる人に相談するのはいいのだろうけれど、私の場合、心が弱っていると、つい関係性が深くない他人の意見も求めてしまう。そうすると、「もっとこうした方がいい、甘えてる」と説教をくらう。自爆テロだ。
選択肢を、少しずつせばめていく方が、動きやすいのかもしれない。
生きていると、毎日、たくさんの気づきがある。
頭が痛くて辛い日ではあったけれど、帰り道は、心も身体も、ポカポカとしていた。