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喫茶店を開きたい夢に近づくために、癖のあるマスターのお店でバイトをはじめた話

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こんにちは、喫茶店でバイトをはじめたぱりんこ(@parincafe)です。

マスターに怒られっぱなしの日々ですが、最近、常連さんとのやりとりが少し楽しいです。

 

今日は、『将来、喫茶店を開きたいなぁ…』と憧れを抱いているわたしが、バイトをはじめて(30代未経験)学んだことをまとめたいと思います。

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個人経営の喫茶店バイトをはじめた経緯。求人募集の張り紙をみて

「いつかやってみたい」は永遠に来ない。仕事を辞めて時間に余裕のある今がチャンスだと思い、飛び込んだ

心身ともに疲れ果て、退職し、しばらくひたすら好きなだけ寝て食べて過ごした1ヶ月。

少しずつ、社会との接点を持ちたい意欲が湧いてきました。

 

はとさん
はとさん
やっぱり、休むって大事だね!

 

「ちゃんと就活しなきゃなぁ」「バイトじゃ世間的にダメだよなぁ」と考えて焦ったり、「若い子に混じって怒られたら、どうしよう…恥ずかしいな」という小さなプライドが喫茶店で働く一歩を邪魔していました。

 

 

けれど、いつかやろう、お金が貯まったらやろう、余裕ができたらやろう

こんな風に思っていても、永遠とその日はこないことを経験上よく知っています。

 

 

今日しか変えることができない。

SEKAINOOWARIの銀河街の悪夢を聴きながら、「今やろう」と決意したのです。

「やりたいから勇気を出してやった。それだけ」HSP仲間の整体師さんからの言葉

「喫茶店を開くのが夢なら、まず、喫茶店でバイトしてみるとか。私も、このサロンを開く時、散々周りから無理だよ、と言われました。けれど、やりたいからやった。勇気を出した。それだけ。」

先日訪れたリラクゼーションサロンの整体師さんの言葉です。

 

しかし、わたしが求めているようなレトロで昭和の純喫茶は、ハローワークやネットの求人サイトで募集をかけているのを見たことがありません。

どうすればいいんだろう?と途方に暮れながら散歩していたら、通り過ぎた喫茶店の前に、バイト募集の張り紙が!

 

声が震えながらも勇気を出して電話をかけると、その日のうちに面接→採用していただけることに。とても緊張しながら喫茶店を開くのが夢だと伝えたことを覚えています。

30代未経験の喫茶店初バイト。覚えることがたくさんで、1日目で心がくじける

コーヒーのミルクを盛大にこぼし、スプーンの違いが分からず怒られまくり。初日から「こりゃ無理だ。」と落ち込む

日頃から、ぼ〜っとしているため、ものをよく落としたり、お皿を割る傾向にあるわたし。

初っ端から、コーヒーフレッシュ(ミルク)の入った容器を倒し、こぼしました。

めちゃくちゃ怒られました。当たり前ですよね。

 

初日の仕事は、グラスに氷をいれて、お水を注ぎ、コースターとおしぼりとお冷やグラスとメニューをお客さまのもとへ置いてくること。

 

 

そして、マスターが作る料理の食器類のセットなのですが、これがさっぱりできませんでした。

ランチ時に並べるスプーン・フォーク・デザート用やスープ用、それから、単品注文の場合のコーヒーカップと、セット用のカップとソーサーの柄の違い。食器がいくつもあり、大混乱。特にスプーン類は全部銀色で、「サイズとか持ち手の曲がり具合とかで分かるだろ!!!」と怒鳴られましたが、はっきり言って何が違うのか分からない。

 

ランチタイムは、次々とお客さんが来店し、お冷やを持っていくので精一杯のパニクるわたし。一つ一つ覚える余裕もなく、この時点で、”飲食店は向いていない”と感じていました。

マスターからの説教が精神をえぐる

面接時や、お店が空いている朝の時間帯は穏やかだったマスターは、ランチ時のピークになると豹変。完全に別人格に。

「ほらほらほらほら早く一回教えたことは一回で覚えろや」「あんた、今まで甘えて生きてきたんでしょう」「結婚の予定はないの?一人で生きていく覚悟はあるの」

 

一度別人格に豹変すると、仕事のことならともかく、プライベートなことまで己の人生観の正しさを語り、説教をはじめるマスター。

「初日でわたしの何が分かるんだろう?」「人に話さないだけで、結構壮絶な人生を歩んでいる自信あるけど…」と悔しくて悲しくて、じわじわと精神がえぐられます。

 

女は男が仕事に打ち込むことを我慢して家庭を守ることが大切だ、最近の人は忍耐が足りない等々、昭和の映画のような話を延々とされました。

(が、数日後、奥さんと子供さんと何十年も音信不通な過去を知る。)

 

ぱりんこ
ぱりんこ
説教をする人って、自分がうまくいってなかったり正当化したい傾向にあるよね。

環境を変えると、今までの仕事の常識がまるで通用しない

お客さんに呼ばれて動くと怒られる

お客さんは、わたしが今日入ったばかりの新人だなんて知る由もないので、呼び止められることもたくさん。「オーダーは僕がとるからとらなくていい、お水を出したら「少しお待ちください」と伝えてすぐ戻ってきなさい」と言われていたので、その通りにしていました。

しかし、おばさま2人組に、「なんで私たちのほうが先に頼んだのに、あそこのテーブルの人たちの方が早いんですか?どういうことですか!?」と詰め寄られてしまいました。すると、

 

 

すごい形相のマスターに

「あんな品のないお客の相手をするんじゃない!」

「待てもしないなら、うちに来なくていいですという精神でやってる」

「すぐ反応するからダメなんだ。淡々と冷静に無視して戻って来なさい!」

と怒鳴られました。

 

泣きそうでした。

「その時は、なんで私が怒られなきゃいけないの…お客さんを無視なんてできないに決まってるじゃん!」とイライラしたり悲しくなったのですが、後で考えると、◯十年も喫茶店を潰す事なく経営し続けてきた人からの言葉はやっぱり重いなぁ、と。全ての人に対応していてはこちらが潰れてしまうし、そのくらいの気持ちじゃないともたないのかもしれない、と。

はとさん
はとさん
それでも、自分が喫茶店を開くとしたら、あたたかく笑顔でお客さんを迎え入れるようなお店にするけどね。

お客さんを選ぶという視点

「お客を選べば、いいお客さんが残る」

「いちいち全部のお客の言うことなんて聞いてたら、振り回されるだけ」

仕事や環境を変えると、考え方ってこんなにも違うんだなぁ…と思いました。多分、同じ喫茶店でも、マスターの方針によって求められる対応は異なるのでしょうね。

 

保護者の方の表情が曇っていたり、要望があると、すぐに「申し訳ありません」と対応していた保育士時代。

 

常に周りを見渡して動くことがよしとされていたけれど、現在お世話になっているお店では、いかにスルーできるかが求められています。

環境やトップが変われば今までのやり方は通用しないのですね。

 

 

この経験から、今の仕事がうまくいってないからといって、=「自分は何もできない人間だ」と思う必要はないということを学びました。

 

違う世界に一歩踏み入れると、仕事に必要とされることや良し悪し、価値観が変わります。

ずっと「優しい雰囲気だし、保育士さん向いてるね」と言われ続けてきたため、自分の1つのアイデンティティーを失うということ、違う環境に足を踏み入れることはとても怖かったです。それでも、やってみてよかったです。

 

そして、喫茶店の仕事でも、この保育オーラが、全く役に立ってないとも言い切れません。なめられやすい自分の雰囲気がコンプレックスでもあったのですが、お客さんにあなたの雰囲気いいね、とにっこり微笑まれるととてもうれしいです。

ぱりんこ
ぱりんこ
どんくさい自分でも、やっぱり生まれたからには、自分だからこそできることを大切にしていきたいな。

恐ろしいマスターの話を受け流しつつも学ぶために、意識していること

怖くて仕方がない時こそ背筋を伸ばす 、落ち着く。堂々とすると怒られることが減る。

 

わたしは、猫背です。

しかし、整体師さんに姿勢の大切さを教えてもらったので、立っている時や座っている時に両手を挙げて伸び〜っとした感覚を保つように意識しています。

『レジ打ちの時こそ、姿勢をよくするといいよ!そうすると落ち着いてできるから!』

と言われ、その通りにしてみると、お客さんの前で緊張してパニクることが減り、ミスが減りました。

 

 

そして、マスターが不機嫌な時ほど、背すじをピン!とするよう意識しています。放っておくと、そのうちマスターの方から話しかけてきます。怒りの感情は、マスターがどうにかすべき問題であって、わたしの課題ではないのです。

笑顔でガンを飛ばす

「あんたのこういうところがダメなんだ」

「ここの仕事ができないようじゃ、どこ行ってもつとまらないよ」

「文章書いてたって食ってもいけないくせに」

「IT関係の仕事なんて、あんたの歳でできるわけないでしょうが」

 

と延々ディスりタイムが始まった時に

ぱりんこ
ぱりんこ
うるさい、ばーか

 

そんな風に思っていても、怒り返して相手のペースに飲まれたり、こちらまで不機嫌な顔をするのもいや。それでも、やられっぱなしや何も反撃しないヤツだと思われるのもシャク。

 

 

そんな時、カフェで出会った一冊の本のフレーズ。

「笑顔でガンを飛ばす」

 

邪悪な念を送りつつ、とびきりの笑顔をお見舞いしています。

 

「そんな言い方しかできないなんて、可愛そうに…。」

「さみしいんだよね、よしよし。」

という哀れみも込めて。

 

こうすると、自分を保つことができるので、おすすめです。

理想と現実を知る。貧乏になってもやりたいからやるのか、月給がいただける会社員になるのか

こんな破茶滅茶なマスターでも、将来喫茶店を開きたいというわたしに、厨房のことや具体的な賃料に必要経費等々、現実的な話も色々教えてくれます。ありがたいことです。

 

喫茶店は儲からない。

これは、先日訪れた松本のブックカフェ「想雲堂(そううんどう)」さんのオーナーさんからも「喫茶店だけでは生活が厳しいから、古本を売るブックカフェにした」というお話をきいたばかりなので、やっぱりなぁという感じです。ちなみに想雲堂さんは、こんな場所を作りたい!という理想のブックカフェでした。

 

貧乏になっても喫茶店を開く夢を叶えるか、安定した月給をもらえる会社員をやるか

この言葉で、将来喫茶店を開きながら執筆の仕事もしたいなぁ〜とふわふわ曖昧に考えていた夢を見直すことにしました。今の自分には、貧乏で生活に苦しくなったとしても、喫茶店を開く夢を叶える覚悟がないことを痛感したからです。

まぁ、会社員も絶対の安定なんてないんだけどね

確実に終身雇用してくれる会社なんてない時代です。人間いつどうなるかなんて分からない、と思ったからこそ、一度きりの人生を「これで良いのかな?」「やってみたいことには挑戦してみたいな」と立ち止まって設けた時間に出会った喫茶店で働いてみる、という挑戦。

そこで学んだことは、飲食店をやり続けるのはとても大変だということ・覚悟も曖昧なまま、挑戦するタイミングが今じゃないということ。

 

マスターに、「今じゃなくても歳とっても喫茶店はできる。」「まず会社員になって安定したお金を手に入れながら資金を貯める」「販売職なら経営の知識が手に入るし、惣菜屋さんなら料理の知識が得られる。何かしら将来お店をもつ夢に繋がる仕事にしたら?」とアドバイスされ、めずらしくスッと心に入ってきました。

 

「喫茶店との繋がりがなくなるのが不安なら、祝日とか正月とか、たまにここで働けばいいじゃない」とまで言ってくれました。(本当かなぁ)

「1つに絞って覚悟決めて突き進みなさいよ」、と怒鳴られると思っていたので、びっくりです。

というわけで、今後は、自分の心身が無理のない範囲で転職活動を頑張っていきながら、ブログやネット媒体で”書く”ことは続け、本を出すというもう1つの夢を諦めずに発信し続けたいと思います。

方向性を決めたタイミングで、ライターとして仕事の依頼が入りました!(何かをやめると何かが入ってくる法則を感じる)

そのほか、喫茶店のマスターや常連さんたちから教えてもらったこと

かなり癖者のマスターの店なので不思議なのですが、常連さんたちは、良い方ばかりです。

そして、マスターにも、自分の意見をバリバリ強く言い返すので、面白いです。「マスターって、いちいちうるさいでしょ。いうこと聞かなくて良いからね!」と庇ってくれる方もいて、スカッとジャパンな出来事もあります。

「気楽にね。人生なんて生きてみないと何が正しいかなんて分からないんだから。」(推定70代の常連さんより)

わたしが出勤する時間帯に、いつもの席でホットコーヒーを飲んでいる男爵のような方。

『気楽に頑張ってね。』と優しく言葉をかけてくれ、転勤族で色々な土地に住んだからこそ分かる経験談は、タメになります。そして、わたしが人生の方向性に悩んでいることを知ると、『なんでもやってみたら良いんですよ。』『人生なんて生きてみないと何がよかったかななんて分かりませんから…わたしだって、いまだに分からない。』と包み込むようなゆったりとした口調で答えてくれました。推定70歳、もしかしたら80近いのかも?そんな人生の大先輩からの言葉は、どこかホッとします。

「人と同じことをしたら、ダメなんだ。(マスターより)」

『台風だからと言って、店を閉めたりしない。周りが店を開けていない時こそ、開ける。人と同じことをしていたら、ダメなんだ。こういう日にきてくれるお客さんこそ大事にしなきゃ。』

言っていることは、分かるようで分かりませんでした。災害で死んだり怪我をしたら、元も子もないけどなぁ…とも思いました。でも、マスターはそれならそれでいい、という考えなのです。お店にいない日はない。”ずっと喫茶店をやってきて、休みもなく旅行にも行ったことないけれど、人生全く後悔してない”と言い切る自信さと潔さには憧れます。

「人間が生きていく上で1番大事なことは、話すこと」(マスターより)

日々、マスターの元には色々な常連さんたちが来て、皆好き勝手に話していきます。

 

『人間は、話すことが1番大事だからね。』

『僕(マスター)だってお店で話しているから、家で独りでも大丈夫。これがサラリーマンだったら、とっくに死んでる。』

 

その通りだなぁ…と。常連さんたちは、皆コーヒーを飲むためだけじゃなくて、昨日はこんなことがあったとか、これが美味しかったとか、日常の些細な会話をしにきています。

 

常連さんたちの会話に、”こんなことを言ったら嫌われちゃうかな”とグッと言葉を飲み込むような雰囲気はまるでありません。わたしと同じ世代の会話とは違うものを感じます。バシバシはっきり好き勝手意見を言っているので気持ちがいいです。

 

”思ったことを口に出す””毎日のことを話す場所がある”

だからみなさん、元気なのかもしれません。

 

 

そういえば、わたしも、喫茶店の適度な距離感で会話できるゆるい雰囲気が好きで、そういうホッとできる居場所を作りたいと思っていたのでした。

 

常々、上辺だけの会話ってする意味あるのかな?と感じつつも、中々自分の意見を言えない自分にとって、お兄様方(おじいちゃん扱いすると怒られる)は見習うべき存在です。

 

そう考えると、マスターが説教する相手となっている自分も役に立っているはずなんですよね……。

ぱりんこ
ぱりんこ
でもね、マスター、わたしは、褒めて伸びるタイプです!!
はとさん
はとさん
癖があるマスターだけど、珈琲は癖がなく飲みやすくておいしい…悔しい…

 

*   *   *   *   *

以上、お暇中に喫茶店で働いてみた経験談でした。

喫茶店のバイトに興味がある方も、何かやってみたいことはあるけれど勇気が出ない…という方も、少しでも参考になったら嬉しいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

当ブログでは、喫茶店やレトロ食堂のほっこりエッセイや、HSP(エイチエスピー)当事者の自分の悩みと、生きやすくなるヒントを発信しています。

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